食物繊維は、便秘や生活習慣病の予防・改善のためには必要性のある栄養素なのです。
しかし、この成分は、人の小腸内では消化・吸収されにくい性質があります。
そのために、昔は「栄養のない食べ物のカス」と考えれていたのです。
食物繊維の必要性がわかってきたのは、20世紀後半になってからなのです。
それは、ヨーロッパの国々など食物繊維の摂取量が減っていた地域では便秘や大腸ガンが増えていましたが、アフリカの国々など、食物繊維をたくさとっている地域では大腸ガンなど、腸の病気になる人がとても少ないことがわかったからです。
それから、食物繊維に関する研究が進められるようになり、今日では食物繊維が腸の健康に役立つことが解明されています。
食物繊維のおもな働きと特徴です。
食物繊維の働きについて
食物繊維には4つの働きがあります。
保水性
水溶性食物繊維は、水を含んで便を柔らかくしてくれます。
便秘の改善、腸に老廃物や有害物質がたまりにくくなる。
そして、腸の病気の予防つながります。
粘性
水溶性食物繊維のうち、ペクチンやグルコマンナンは水に溶けるとゲル状になります。
消化器官をゆっくりと移動するため、血糖値やLDLコレステロールの上昇を抑えてくれます。
発酵性
大腸の善玉菌によって分解され、有機酸や短鎖脂肪酸に変わり、大腸内を酸性に保ちます。
弱アルカリ性の環境を好む悪玉菌が減り、腸内環境が良くなります。
吸着性
体の中に入った食物内の有機物質を吸着して、便と一緒に排せつする働きがあります。
そして、体内の余分なコレステロールや胆汁酸(たんじゅうさん)の排せつの促して、悪玉のLDLコレステロールを
減らしてくれます。
食物繊維には不溶性と水溶性がある
毎日、食物繊維をたっぷりと食べているのに、便秘が改善せずにお腹が張ってくるという人もいると思います。
そのような人は、どちらかというと不溶性の食物繊維だけを積極的にとっているケースが多く見られるそうです。
食物繊維には「不溶性」と「水溶性」があります。
不溶性は水に溶けにくく、水溶性は水に溶けやすいのが特徴です。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の働き
不溶性食物繊維、便のかさを増やす働きがあります。
しかし、とり過ぎると水分が足りなくなって便がかたくなってしまいます。
そして、便秘や腹部膨張感などを招きます。
水溶性食物繊維は、腸管内の水を吸って便をやわらかくする働きがあります。
スムーズな排便のためには、便のかさが増え、やわらかくなることが必要なのです。
したがって、食物繊維は不溶性と水溶性をバランスよく食べることが大切です。
不溶性と水溶性のバランスは
不溶性と水溶性を2対1くらいの割合で食べるようにするのが、理想的だそうです。
しかし、摂取量を細かく計算して食べることは難しいと思います。
どちらかというと、不足しがちになるのは水溶性のほうです。
したがって、水溶性の食品を意識して多くとるようにするのがいいようです。
水溶性の食品:海藻、こんにゃく、果物、納豆などです。
不溶性の食品:野菜(根菜、アブラナ科の野菜など歯ごたえがあるもの)、豆腐、玄米など精製していない穀類、いも類、きのこ、おから、納豆などです。
まとめ
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食物繊維の1日の摂取量は20ℊを目標にすると良いそうです。
食物繊維は、食品からとる限り過剰症の心配はないようですので、あまり気にしないで食べるようにしましょう。
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