抑うつ神経症に関した裁判がありました。
世界遺産・仁和寺(にんなじ)(京都市右京区)の食堂で働いていた元料理長の男性(58)が、長時間労働で精神疾患を発症したとして、同寺に慰謝料や時間外手当など約4700万円を求めた訴訟の判決で、京都地裁、堀内照美裁判長は「尋常ではない過酷な業務だった」として発症との因果関係を認め、12日、同寺に約4200万円の支払いを命じたそうです。
ここ数年、長期な時間外労働で精神的な苦痛を受けて病気になったと裁判になることがあります。
今回は、1か月の時間外労働は最長約240時間で、349日の連続勤務もあったようですね。
判決によると、男性は2004年に同寺に雇用され、境内の宿泊施設「御室会館」で、レストランや宿泊客用の料理を担当。05年に料理長となったが、12年8月に「抑うつ神経症」と診断され、休職した。13年7月に労災認定され、現在も後遺症が残っている。
発症まで約1年3か月間の時間外労働は、1か月を除き毎月140時間以上で、最長約240時間。11年は1年間で356日出勤し、うち349日は続けて勤務していた。
精神疾患の患者さんは年々、増加傾向にあるといわれています。
精神的な弱さによるものか、ほんとうの精神疾患によるものかを判断するのかは難しいですよね。
精神疾患の一つである、抑うつ神経症の原因と症状とは?
原因
遺伝的な素質や性格、ストレスなどが原因となります、主な要因として、近親者の死、親しい人との別離、転職などです。
特に幼少期において、大切な人との別離や喪失体験している人に多いようです。
このように抑うつ神経症は、特定の環境や事件など明確な原因があります。
そして、抑うつ状態が慢性的に続く状態のことを言います。
症状は
抑うつ神経症は、悲壮感、悲哀、抑うつ、制止などのうつ状態を主症状とする神経症の一つです。
うつ病ほど症状は重くないものの、慢性的に軽度のうつ状態が長く続きます。
現在は気分障害の中の気分変調性障害に分類されています。
症状としては、抑うつ神経症は、憂うつ、無力感、無気力、悲哀感、絶望感など、うつ病と酷似した症状です。
しかし、うつ病とは違って朝がひどくて夜になるにしたがって落ち着いてくるなどの、気分の日内変動はみられません。
そして、人格障害を伴う不安や焦燥感が強くて、環境の変化に反応して症状が動揺しやすい、などにより概念的にうつ病とは区別されています。
治療法
治療方法は精神療法が中心となります。
なぜ精神療法なのかは、抑うつ神経症では、抗うつ剤がうつ病の時ほど効果がないからだと思われます。
特徴として、抑うつ状態がうつ病よりも比較的軽い割には治りが悪いとされています。
治療を受け始めてから1年以内に治る人は10%くらいともいわれています。
治療は年単位になるのが普通ですし、5%の人は治療を受けても治らないとの報告もあるようです。
薬が、いくら効果がなくても、不眠、不安感、憂うつ感などを緩和するのには有効性があるので、しっかりと服用するのが大事ですね。
抑うつ神経症を発症した人には、幼少期に大切な人との別離や喪失を体験している人が多いとも言われていますので、そうした体験を丁寧に聴き取っていくことも大切だと言われています。
まとめ
抑うつ神経症では、周囲を責める場合が多く、他者に対する依存心も高いと言われています。
そのような認知の歪みを改めるうえで、精神療法を欠かすことはできないみたいです。
ストレスなどをためないような生活を送ることが出来れば一番良いですけれどね。
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